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【ケース8】
社員がSNS(ツイッターやFacebookなど)で顧客情報や内部情報等を漏えいしたケース、会社の信用を落とす写真などをアップしたケースのご相談、コンプライアンス研修の依頼が増えています。
- 社員がSNSで秘密情報を漏えい。会社が賠償責任を追及される。
社員の個人的な投稿でも、会社は賠償責任を負うのか?
- 社員の個人的な投稿でも、会社が賠償責任を負う可能性がある。
(1)
社員が仕事中に、「取引先の○社で打合せ」「○さんが来店」といったネット投稿をした場合、
会社が、取引先から秘密保持義務違反を理由に、(顧客からはプライバシー侵害を理由に、)
賠償請求される可能性があります。
(2)
プライベートなネット投稿であっても、
社員が、その会社の社員であることを明記して秘密情報を投稿した場合など、
一定の場合には、会社が、管理監督を怠ったとして、賠償責任を負う可能性もあります。
(3)
漏えいした秘密情報に個人情報が含まれていれば、
行政庁から、個人情報保護法上の安全管理措置を怠ったとして、
勧告や措置命令を受ける可能性もあります。
- 事前の対策
情報漏えいによる損失(賠償責任、信用低下など)を防ぐには、事前の対策が必要です。
具体的には、以下のような対策が考えられます。
(1) 就業規則に、情報漏えい等が懲戒処分になることを明記し、社員に周知させる。
(2) 入社時(及び退社時)に、秘密保持等の誓約書を提出させる。
(3) 日常的に、社員に対し、コンプライアンス研修を実施する。
- 事後の対応
情報漏えいの被害者(取引先、顧客等)から裁判を起こされると、
裁判費用等のコストがかかる上に、訴訟対応の事務負担も増えてしまいます。
裁判を防ぐためにも、会社の秘密情報、個人情報が漏れた場合、
速やかな先方への通知、謝罪等の対応が必要です。
(裁判では、会社の事後の対応次第で、賠償額が変わってくることもあります)
- 社員が会社の信用を落とす写真をネットに投稿。
会社は、その社員を、懲戒解雇できるのか?
- 「懲戒処分」をするには、「就業規則」に懲戒事由等を明記する必要がある。
いわゆる普通解雇ではなく、制裁罰(懲戒処分)の一つである懲戒解雇にする場合、
退職金が不支給になることがあるなど、社員にとって多大な不利益となります。
そのため、法律(判例)では、懲戒処分をする(=社員に罰を与える)には、
就業規則に、懲戒の事由・種類(どんなことをすると、どんな罰が与えられるか)
が明記されていることが必要とされています。
懲戒解雇をするには、就業規則を作成し、かつ、どんな場合に懲戒解雇になるかを
必ず明記しておいてください。
- 普通解雇でも、「客観的に合理的な理由」がなければ無効になる。
懲戒解雇ではなく、普通解雇を選択した場合であっても、
「不適切なネット投稿ではあるが、会社の信用には影響しなかった」
といった事情がある場合、
従業員から裁判を起こされて、解雇が無効になる可能性があります。
法律的に有効な解雇を行うためには、「客観的に合理的な理由」、
すなわち、「第三者から見て、解雇も致し方ない」と言えるような理由・証拠が必要です。
「解雇は無効」という判決が出てしまうと、
解雇から裁判終了までの給与相当額を支払うことが命じられます。
社員の解雇については、慎重に検討することが必要です。